夏の夜は蒸し暑くて、じわじわと汗ばんだ体がTシャツにくっついて気持ち悪い。ただそこにいるだけなのに汗が湧いて来るみたいだ。

正座した足もそろそろ限界を迎えそう、まぁなんで正座してるかと言えば…

「寮の屋上で花火なんてするもんじゃない!」

絶賛お説教タイム中だから、みんなで。もうかれこれ10分はこんな感じ。

「ここは木に囲われてるんだ、もし火が燃え移ったら…」

智成くんに誘われ臨時寮の屋上で花火したらでんちゃんに見付かって怒られた。

「しかも屋上は進入禁止だ!鍵を盗んで入るなんて何を考えてるんだ君たちは!!」

やっぱり屋上へは行っちゃいけなかったらしい、いつも鍵かかってるもんねそりゃそうだよね。入っていいんだってちょっとテンション上がっちゃったのがよくなかったよね。

「いいかい君たち、今後はこんなことしないように!今回はこれで大目に見るけど次はないからね!!」

「「「「…はい」」」」

すみませんでしたとみんなで頭を下げる。

次はないって、するつもりはないけど次があったらどうなるのかな。退寮とか、そんな感じなのかな確かにそれは避けたいよね。

「じゃあ…僕は戻るけど、ちゃんと片付けはするようにね。終わったら鍵取りに来て、僕が締めに来るから」

こそっと持って来た鍵もあっさり没収され…
てゆーかそんな簡単に持っていけるとこに置いとかないでよ!

「使い終わった花火はしっかり水に濡らして捨てるんだよ、一晩くらいしっかり漬けてね!」

誰より汗をかいてるでんちゃんは腕でおでこや首の汗を必死に拭いて、ふぅっと息を吐いてドアの方へ歩いて行く。

私たちも立ち上がって、片付けを…

「あ、そうだ三森さん」

急に私だけ名前を呼ばれたからしびれた足のことも忘れて立ち上がっちゃった。

「女子寮に空きが出たから夏休みには転寮出来るよ」

「え…?」

あまりにサラッと言うから、足のしびれも相まってコテンっと体制を崩した。

なのにでんちゃんはそれだけだからとピシッと指を揃えた手を前に出して、じゃあっと階段を下りて行ってしまった。


え、なんて…?


転寮…

って言った?


私これから女子寮に入れるの?


え…えぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!?