「トムヤンクンおいしかった~!初めて食べたけどおいしかったね、あゆむん!」

「う、うん…おいしかった」

夕食を食べて返却口に食器とおぼんを返す。いつもと変わらないさっちゃんだけど、私からするとやっぱり慣れない。

「タイの料理なんだって、隣に座ってた女の子が教えてくれた」

手を挙げて席を教えてくれた子はやっぱり知らない子だったんだ。

「うちの学食いろんなもの出るからいいよね~」

声も仕草も話し方もさっちゃんなんだけど、どこか違和感でしっくり来ない…いや、こっちもちゃんとさっちゃんなんだけど。

食堂を出て渡り廊下の方へ、夕食を食べたらこのまま下駄箱に向かって靴を変えたら寮に戻るだけだから。

「明日はピロシキなんだって~、ピロシキはどこの料理か知ってる?」

「え、どこだろ?」

「ロシアだって!言ってたよ!」

食事中、さっちゃんは楽しそうに女の子たちと喋っていた。
元々明るくてよく話す子なんだ、それも至っていつもと変わらないといえば変わらないんだけど…

「あゆむん」

下駄箱に着いた。
クラスが隣のさっちゃんとは下駄箱の位置が少し離れてる、棚2つぐらい。だから余計に遠く感じちゃった。

「最初からこうすればよかったんだよね」

「え…?」

「ありがとう、あゆむん」

「ううん、私はっ」

さっちゃんとの距離が遠くなった気がした。


本当に?

本当にこれでよかったの?


その切なさ混じる表情はだって…