さっちゃんのことも、斗空のことも、ついでにあの智成くんのことも…気になって。

モヤモヤしながら考えた。
何を言っても変わらないのかもしれないって、もう何もしない方がいいのかもしれないって。


でもね、斗空に教えてもらって1つわかったことがあるの。


「さっちゃん、一緒に食べよう!」

だからもう1度聞いてほしい。

私の声を、届けたい。

「あゆむん…、もういいって言ったのに」

今日は食堂の入口じゃなくて先回りしてトイレの前で待っていた。おぼんの上には今日のお昼ご飯ミートソーススパゲティが乗っている。

「気なんか全然遣ってないよ!」

声を出すとおぼんが揺れてコップに入ったお茶がこぼれそうになった。

「だってあの寮めちゃくちゃだから気なんか遣ってたらやってけないもん」

ばーんっと胸を張った、さっちゃんは何言ってるの?って顔してた。

入寮した日から思ってたことを述べたまでなんだけど、初めて会ったのにハチャメチャだなって。


でも、だから…


私は私でいられる場所だなって思ったんだ。


無理しなくていい、私らしくいられる場所。



それって居心地がいいんだよ。



「だからこれは私のワガママだよ、私が今さっちゃんといたいの」

みんな自由に好きなこと言うから、私も言いたいだけだよ。

「でもあゆむん…ダメだよ」

「なんでっ、何がダメなの!?」

「だってボクと一緒にいたらあゆむんまで嫌な思いしちゃう…!」

苦しそうな顔で瞳を潤ませた。

「そんなの嫌だっ、せっかくあゆむんと仲良くなれたのにあゆむんまでボクのせいでっ」

え…

私のこと、考えててくれたの?
私のこと思って、わざとあんなこと言ったの…?

「あゆむんともっと仲良くしたいから…っ」

ポロッと大粒の涙が流れた。

顔をゆがめて、俯いて、ひっくひっくと声を殺すように泣いていた。

さっちゃんの思いが溢れて来るみたいで、どうやって私はその涙をすくいあげたら…