「そういえば今日咲月とどうだった?」

「え、さっちゃんと…?」

壁に背中をつけて一息ついた斗空がペットボトルの蓋を開けた。

「昼、一緒だったんだろ?」

よっぽど喉が乾いていたのかゴクゴクゴクと一気に半分くらい飲み干した。

「うん…」

斗空も気にしててくれたんだ。

いいんじゃないってテキトーに言ってたけどテキトーじゃなかったんだね。私がさっちゃんと食べるって言ったこと、だけどね…

「さっちゃんに嫌われちゃったっぽい」

全然上手くできなくて、それどころか逆効果で怒らせちゃったかもしれない。

教科書を閉じた。抱きしめるみたいに両手で、ぎゅって力が入った。

「本当は…話しかけないでって言われたんだけど、話しかけちゃったから怒っちゃったんだと思う」

そう言われてたのに無理やり通せんぼまでして引き止めたから、嫌だったんだよねきっと。

「私と一緒にいたくないって…言われちゃった」

さみしいとかつらいとか勝手に押し付けっちゃったんだ。

でもそれは私のエゴでしかないのに。

さっちゃんのこと考えてるようで考えてなかったの。


だからあんなこと…


「咲月は歩夢と仲良くしたいんだろ」

「え、聞いてた?私の話、一緒にいたくないって言われたんだよ!?」

2/3お茶を残したところでペットボトルの蓋を閉めて、持っていたタオルを肩にかけた。

「思い返してみろ、本当にそう言ってたか?」

「言ってたよ!今あゆむんと一緒にいたくないって言ってたもん!」

「ほら、さっきと違うじゃねぇか」

「さっきと?」

え、同じじゃない?

私と一緒にいたくないって、同じ意味じゃん。

“今あゆむんと一緒にいたくないから”

特になにもー…