「ねぇ斗空」

「ん、何だ?」

教室に戻ってすぐに斗空に聞いた。

「さっちゃんって…」

「咲月?がどうかしたのか?」

座ってる斗空の前に立って、なぜか私が泣きそうだった。

「いつも1人でご飯食べてたのかな?」

広い学食で一斉に食べるから気付かなかった。きっとどこかにいるんだろうなぐらいに思ってた。

自分のことばかり気にしてたからわからなかった。

「…あぁ」

斗空が目を伏せた。

斗空は知ってたんだ、このこと。

「毎日!?ずっと!?1人で…、あんなとこで食べてたの?」

あんなとこ、って言うのが精いっぱいだった。だってさっちゃんがどんな思いであそこで食べてたのかと思うと、無理に笑って見せたさっちゃんの顔が思い返される。

「…いつもいなかったからそうだろうな」

「気付いて…っ!?」

「たまに食堂から抜け出して行くところは見てたし、1度聞いたこともあるけど」

全然知らなかった。
いつもいなかったんだ、毎回おぼんに乗せた給食を持って賑わう学食から1人…

「咲月がそれでいいって言ってた」

「え…」

さっちゃんが?いいって?

そんなこと…。

…いいの?

本当に、それで…


だってそれって、クラスでも1人ってことじゃないの?