斗空のものになりたい。


でもどうしたらなれるのかな。



斗空は私のことどう思ってる?



「………。」

全寮制のうちの学校は朝も昼も夜も、ご飯は生徒全員で学校の食堂で集まって食べる。

席は自由で友達と好きなように食べていい、生徒的には嬉しい仕様になってるんだけど…


1人になるときつい。


先週までは鞠乃ちゃんたちが誘ってくれて一緒に食べてたけどもう誘ってくれないし、他に誘える子もいないし、どこに座ったらいいかわからない1人のこの状況つら過ぎる。

学食をお乗せたおぼんをもちながらフラフラ歩いてみたけど、どこに座ればいいの…!?

どこに座ってもぼっちなのがわかってしまう、だって学食だもん!

みんなここで食べるんだもん!


1人でいるところ見られる…!!!


「……。」

そんなこと考えててもしょーがないか、ひっそりせめて隅っこで身を隠すようにして食べよ。さっさと食べ終えちゃったら戻っていいし。

ふぅっと息を吐いて1番隅っこの窓際に座った。小さな声でいただきますをして存在感出さないように。

「言うのか言わないのかはっきりしろよな」

「斗空…!」

ひょっと私の前に現れ、空いていた席に座った。

「え…ここで食べるの?」

「誰か来るのか?」

「ううんっ、来ないけど…」

「じゃあここで」

「……。」

斗空が手を合わせた。いただきますってちゃんと聞こえる声で。

“歩夢が1人でいたら嫌だなって思った”

来てくれたんだ、たぶん。

私が1人でいるから、来てくれた。


でもめっちゃ鞠乃ちゃんたちがこっち見てひそひそ喋ってるけど!

絶対逆効果…!!


だけど…



嬉しい。



斗空が一緒に食べてくれて嬉しい。

「もうすぐテストだな」

「あ、中間テストだよね」

斗空がスプーンですくったカレーを口に入れた。

「勉強大丈夫なのか?」

開口一番それってことはきっと勉強できなさそうと思われてる。でも否定はしない、ただこれにはわけがあるんだよ。

「…前の学校より進んでて全然追い付けそうにないの」

これが悪いのは私じゃないよね!?
私の頭じゃない、学校側の問題!

「へぇーそうなんだ」

「そう、だから…」

「がんばれよ」

「そこは助けてくれないんだ」

なんでそこはドライなの?急に突き放された気分だよ。

「それは助けようがない」

「あるでしょ、教えてくれるとか!」

「先生に聞いた方が確実だ、そこは考慮してくれるだろうし」

正論なんだけど、その通りなんだけど…そこも期待しちゃったじゃんか。

「早く食えよ、昼休み終わるぞ」