「あ、そうだ歩夢。今日言いかけたことなんだけど」

「言いかけたこと?」

“あのさっ”

あぁ、あれかな!?
私が逃げて話聞かなかったやつ。

何だったんだろう、今改めて言われるっていうことは大事なことだったのかな?それを聞きもしないで逃げちゃった…

「次俺が昼ご飯作る時、食べるなら何がいい?」

「………え?」

すっごい真剣な表情で問われた。これは本気で聞かれている。

「カルボナーラすげぇ褒めてくれたから、次も歩夢の好きなもの作ってやってもいいけど」

「……。」

それあの時、聞こうと思ったの?

わざわざそれを??

てゆーかもちろん負ける前提なんだ。

だったらあそこで聞かなくてよかったって思うけど、それより斗空ってやっぱりちょっと…

天然なの?
いや、抜けてる?

ううん、違うなぁ…

「何がいい?」

そんなとこも、斗空らしいね。

「またカルボナーラがいい!」


ドキドキと心臓の音が大きくなっていく。

心の奥から溢れていくこの気持ちが、私を包んで暖かい気持ちにさせる。


この距離がもどかしい。



“歩夢はみんなのものになってどうすんの?”

私はみんなのものになれなくてもいい、斗空のものになりたい。