「やっぱり雨降って来ちゃった…」

プール掃除を終えて制服に着替える、学校の玄関に着いた頃にはパラパラと雨が降り始めていた。

せっかくプール掃除したのに…
正直今から濡れて帰るよりこっちの方がショックだった。

てゆーかこんなことならジャージのままでよかった、登下校は制服でってルールを律儀に守ろうとしたから…

だってあたり前のように傘持って来てないんだもん。朝晴れてたもん。

「よっしゃぁ~、ほな走って帰るで!」

「行っくよーーーーーー!」

智成くんが先陣切って雨の中に突入していく、その後ろをさっちゃんが続いて。

…しょーがない、私も走って帰るか。
これくらいの雨だしね、前みたいにカミナリも鳴ってないしザーザー降ってるわけでもないからね。

隣からパサッと音がした、傘を開く音。

「…斗空持って来てたんだ」

「今日雨って言ってたからな」

さすが、用意周到だなぁ。なんでも持ってるだけはある。

傘をさした斗空が学校から出て歩き出す、その後姿を見ていると少しだけ歩いて振り返った。

「入ってくか?」

プール掃除してたら遅くなっちゃったし、もう誰もいないかな。帰っちゃったかな。

今なら誰にも見られないかな。

でも…


「うん、入る」


見られてもいいか。
またハブられちゃうかもしれないけど、それでも。


斗空の傘の下に入りたい。


斗空を追いかけて隣に並んだ。

寮までの帰り道、少しの間近いようで遠い道のりを。