「智成も気付いてたみたいだけどな」

「え、智成くんも!?」

そっか、智成くんも同じクラスだ私がプール掃除担当だったのは知ってたよね。なんだかんだバレてたんだね、恥ずかしいとか思うあれもないか。

「智成くん、…ありがとう」

「オレ優しいやろ、オレに惚れた?」

「智成は女の子みんなにね!みんなに優しさ振りまいてる!」

にひっと笑う智成くんに間髪入れずにさっちゃんが割り込んだ。手にはブラシを持って掃除しながら。

「だってこないだなんてさ!女の子が誕生日だからってバースデーソング歌ってほしいの♡にノリノリに応えてたじゃん!ノリノリってとこが嫌だよね!!」

「何言うてんねん!あれは事情があるんや!歌ってほしいの(ハート)やない、歌ってほしいの(涙)って感じや!」

「何言ってんのか全然わかんない!」

もう黙々と斗空は掃除を始めちゃって床を磨いてた。私もブラシを借りて2人の話を聞きながら手を動かした。

「あんな、あれは茉凛ちゃんの親からほんまは電話来る予定やったんだけど茉凛ちゃんとこってお医者さんやん?急な手術で電話出来へんくなったって凹んでたから」

“こないだ智成くんに今日誕生日なんだって言った子なんて耳元でバースデーソング歌ってもらったらしいよ!”

「オレにできることってそれくらいやん?」

あれってそーゆう意味だったのかぁーーー!

そこだけ聞くと何してんだ?って感じだったけど、実はそんな裏側があったとは…

すごいこと引き受けてる、智成くん。