変わらず、学校では1人だけど。

もしかしてこの休み中に何か変わってるかも!?って淡い期待を抱きながら学校に来たけど、私の声は誰にも届いてなかったみたい。

「今からプール掃除の係を決めます。今年はうちのクラスがプール掃除担当になったんだけど、誰か立候補してくれる人いない?」

プール掃除かぁ、うちのクラスが担当って毎回違うクラスがやってるってこと?プールって広いのかな、ここに来てからプールってまだ見たことない… 

ぼぉーっと窓の外を見ながら石田先生の話を聞いていた。

立候補する気もないし、そのうち誰か手を上げるかなってこの総合の授業を乗り切ろうとしてた。

今日も全然鞠乃ちゃんは後ろを向いてくれなかった。
おはようって言ってみたけど、聞こえてなかった?聞こえてたよね、たぶん。

もう振り向いてくれないのかな…

「歩夢ちゃん!」

ぼけっとしていたから咄嗟に反応できなくて、目を丸くしちゃった。

「一緒にプール掃除しない?」

「え?」

ずっとこっちを向いてくれなかった鞠乃ちゃんが体ごと向いていたから。

「ほら、昨日クレープ約束したけど一緒に行けなかったから…本当はね、行きたかったの。だけどあんなこと言っちゃったしもう来てくれないかなって」

そんな風に思っててくれた…の?

「ごめんね」

手を合わせてぺこっと、眉をハの字にして申し訳なさそうに私の顔を見てる。

鞠乃ちゃんもクレープ忘れないでいてくれたんだ。

そうなんだ…!

「だから今度は一緒にプール掃除しよ!仲直りのプール掃除ね!」

鞠乃ちゃんのツインテールが揺れる、今日は天気もよくてあったかいもんね。

「…うん!」

また誘ってもらえた。

嬉しい、やったぁ。

「先生~!あたしと歩夢ちゃんと」

「私もやる~!」

「じゃあ、はいっ」

瑞果(みずか)奈枝(なえ)もやるって!」

クレープじゃなくなったけど、プールのしかも掃除だけどそれでも浮かれちゃった。

またがあると思ってなかったから。

「じゃあ今の4人は今日の授業後、よろしくお願いしますね」

はぁーいと、鞠乃ちゃんが返事をしてアイコンタクトをした。

めいっぱい目を開いて頷いて、浮かれる気持ちを抑えた。

そわそわしちゃってしょーがなかった。

授業が終わるまであと3時間、現国と体育とあとは…

「歩夢」

総合が終わって放課になった直後名前を呼ばれた。

いや、今!ここで!?

呼ばれるのはすっごいまずい!!!

「次っ」

「斗空…くん!私ちょっと忙しいの!」

「は?」

「あの~…っ、職員室!職員室に行かなきゃ行けなかった気がするからちょっと失礼します!!」

用なんかないけど、ここにいるのは絶対まずいと思って教室から飛び出た。

だってせっかく誘ってくれたんだもん、2回目だよ!?


もう失敗はしたくない…!


プール掃除失敗したくない…!!!