もう雨は止んだのに、心の中はまだ落ち着かない。

どうしちゃったのかな、私。



「鞠乃ちゃん、おはよう!」

教室に入って開口一番大きな声であいさつした。

今の私のモチベーションは一緒に行くクレープ屋さん!昨日からずっと楽しみ!

「……。」

なのに鞠乃ちゃんからは何も返って来なかった。


……え?聞こえてなかった?

結構声張ったつもりだったんだけど。


「鞠乃ちゃんおはよう」

もう一度、今のはちょっと遠かったから教室入ったとこで言っちゃったから自分の席のところで呼びかけた。

鞠乃ちゃんは前の席なんだ、ここならさすがに聞こえてるよね?

「……。」

でも返事もなければ振り返ってくれることもなかった。

なんで?どうしちゃったの…?

「鞠乃、おはよ」

「おはよ~」

私以外の子にはちゃんとあいさつをして、まるでわざと私の声を聞こえてないフリしてるみたい。

「今日暑くない?」

「暑い~!もうすぐプール始まるって先生言ってたもんね!」

普通に話していた。

…どうして、なんで私だけ。

「鞠乃ちゃっ」

「外行かない?ここ暑いし」

背を向けたまま鞠乃ちゃんが立ち上がる。

鞠乃ちゃんが歩けば自然と女の子たちが後ろをついて、わいわい賑やかに教室を出て行く。

なんで誰も私のこと見えてないみたいなんだろう、何かしたかな…何か…