待ってろよと言われたから青色のドアの前で待つこと数分後、ガチャガチャとドアノブが開けにくそうに回った。

え、開かないのかな?
こっちから開けた方がいい?

「わっ何!?」

もたついて開かなかったドアを押してみるとポットやら毛布やらいろんなものを抱えて出て来た。

「どうしたのっ、何!?」

「これケトル、お湯沸いてるから」

「え、うん」

「気を付けて持てよ」

渡されたから受け取るしかなくて、何が始まるんだ?と頭の中はクエスチョンマークだらけだったけど… 

サッと廊下にレジャーシートを敷き始めたから。

「何するの!?」

「他人の部屋に入るのは禁止だからな」

そのルールは聞いた、ここは男女兼用の寮でもあるし。

「いや、そんなのわかってるけど!何してるのって聞いてるの!」

持って来た毛布をその上に置いて立ち上がった、私の前に立って声を上げる。

「そんな顔の歩夢ほっとけねぇーって言ってんだよ!」

「…!」

そ、そんなハッキリと…

私こそそんな顔で見られたら、顔が熱くなる。

「座れよ、クッションも持って来たから」

「…レジャーシートなんてよく持ってたね」

「これは春の遠足で使ったやつ」

へぇー、春の遠足なんてあったんだ。

「寒いだろ、毛布使えよ」

全然寒くなくなったけど、雨に濡れて寒かったはずなんだけどもう全然。

体も顔も、熱くて全然…

「あとこれ、タオル」

「あり、がとう」

ドキドキしてる心臓が。

ただタオルを受け取っただけなのに、きゅぅって心臓を掴まれたみたいに。カミナリの音よりもうるさいよ。

「お茶でいい?」

「う、うん…!」

ケトルで沸かしたお湯であったかいお茶を入れてくれた。

「斗空の部屋なんでもあるんだね」

ものの数分でこれだけ出て来るんだ、何があってもいいように普段から備えてるみたいな。

「普通じゃないか?」

「普通ではないと思うよ」

用意してくれたレジャーシートの上に置かれたクッション、クッションも私の部屋にはないなぁって思うながら腰を下ろした。

「だって毛布とかお茶とかレジャーシートまで出てくると思わないよ、ほんとに遠足じゃん」

「おやつはないから」

確かにこれでおやつまであったら本当に遠足…

「あ、私持ってるよ!」

そーいえばこっち来る時、家にあったの持って来たんだ!まだ食べてないから残ってる!

「ちょっと待ってて!」