寮に着く頃にはもっと雨はひどくなっていた。

「わ~~~、やっば!」

「すげぇな今日の雨は」

ちょうどよかったかも、あれ以上学校にいたら本当に帰れなくなってたかもしれない。

空もめちゃくちゃ暗いし、まだ降るのかな。



―バリバリバリィッ



「わぁぁっ」

外の状況が気になって玄関のドア越しに覗こうと思ったら落ちたんじゃないかってぐらい大きな音がした。そこからまた激しい音は増してザーッと隙間なく雨が降り出した。

え、やば… 

本当に帰って来れてよかった。ギリギリ寮に着いて…これはちょっと危なかった。


―バリバリィッ


「わぁっ」


カミナリの音すご過ぎる…!


大丈夫なのかな?これ落ちたりしないの?

木には落ちやすいって言うよね…
そぉーっとドア越しに空を見た。

「……。」

うわーめっちゃピカピカしてるー 

ピカピカすると時差でしばらくしてから音が鳴るかっ 

あぁっ、今鳴った!
すっごい大きい音なった!!

ブルルッて体が連動してるみたいに震えた。

もう部屋行こ、早く部屋の中入ろ!!

「歩夢?」

「雨すごいね、早く部屋行こっか!」

そうだ、部屋にはさっちゃんが貸してくれたシフォンもいるし好きな漫画読んで気分紛わそう。

階段を上がって2階の廊下を真っ直ぐ、奥の左側の私の部屋まで。

きっとそのうち止むし、ちょっとの間だから。

ドアノブに手をかけて、ゆっくりドアを開ける。たまにブルッて震える体に手が滑りそうになったけど。

部屋の中に一歩足を踏み入れた。

「歩夢!」

「え?」

グイッと腕を引っ張られた。


その瞬間、斗空と目が合った。


泣きそうになってる目を、見られちゃったかも。

「来いよ!」

「え!?」

グーッと手を引かれバタンッとせっかく開けたドアは閉まってしまった。

「え、ちょっと!?何?何なの!?」

何も言ってはくれなくて。
ぐいぐいと斗空の力にかなうはずもなく、そのまま斗空の部屋…

「えぇ!?ちょっ、何考えてっ」

…の前まで連れて来られた。


斗空の部屋の前?


「そこでちょっと待ってろよ」

「……。」

斗空だけ部屋の中に行ってしまった。


………え?なに?