「三森歩夢です、よろしくお願いしますっ」

黒板の前に立って自己紹介なんて緊張する、ざわざわ注目されるとピンッて背筋が伸びちゃう。

「今日からうちのクラスの一員になる三森さんです、みんな仲良くしてあげてね」

担任の石田(いしだ)先生に言われてぺこっと頭を下げた。
優しそうな女の先生でよかった~、怖い先生だったらどうしようかと思った。

「じゃあ三森さん、三森さんの席は1番後ろの窓際の…」

パッと言われた方を見る、空いてる席が1つあった。

あそこが私のー…


「佐々木くんの隣の席ね!」


佐々木くん…?


そのまま視線を少しだけ横にズラす。



あ、佐々木斗空!!!



隣だった。

隣の席は佐々木斗空だった。



「…よろしくおねがいします」

ゆっくり席に座る、隣を見るような見ないような感じで横目でチラッとぐらいな。

「なんだよそれ、今更だろ」

それでも目が合って、無愛想な顔してるのだけわかった。

…自分でもよくわからないけど、佐々木斗空と話すのはちょっとだけ緊張する。

あんな出会いだったからかな、言い方も冷たいしきついし、無駄に圧感じるし。


同じクラスの隣の席になるとは思わなかった。


ふぅっと息を吐いて先生の方を見ると、その少し右に逸れたところからヒラヒラと手を振る…

智成くん!

体は前を向いたまま顔だけこっちに向けて気付かれないように手を振っていた。
智成くんも同じクラスだったんだ。

さっちゃんは隣のクラスって言ってたもんね、智成くんも一緒なら心強いか。知らない人ばっかのところに1人入っていくのは不安だったし。

先生にバレないようにサッと手を振り返した。