そう恥ずかしそうに話す舞は、美しい女神様ではなく、可愛らしいごく普通の女の子に見えた。明里は「何だかホッとした!」と笑顔を見せ、教科書と向き合う。

「それで、テストに出るのはどの範囲なの?」

「あなた、先生の話を聞いてなかったの?」

舞は呆れつつも、小テストで出る範囲を教えてくれた。単語の意味を答えたり、単語を覚えるコツや文法を舞に教えてもらう。舞の教え方はとてもわかりやすく、英語の苦手な明里も理解できるものだった。

勉強している間に時間は過ぎて行き、校庭の辺りが騒がしくなってくる。他の生徒たちが登校し始めたようだ。

「勉強時間はここまでみたいね」

舞がそう言い教科書を閉じる。明里も首を縦に振りつつ、「教えてくれてありがとう。先生よりわかりやすかった」とお礼を言った。

「別にいいわよ。勉強を人に教えることも自分の勉強に繋がるから」

「かっこいい〜!そんな台詞言ってみたいな」

そう笑った明里の手に、柔らかなものが触れる。自身の手に舞の手が重ねられていると気付いた時、明里の顔は夕焼けに照らされたかのように真っ赤に染まった。