柔らかなウェーブのかかった髪は腰まであり、白い雪のような肌に朝の光が当たっている。二重の瞳に赤く血色の良い唇。同じクラスメートだというのに、明里は目の前に月の女神が朝の世界に迷い込んでしまったかのように見えた。

「おはよう。早いんだね」

「ちょっと勉強したくて」

緊張を感じながら何とか言葉を紡いだ明里に対し、目の前の彼女は薄く笑みを浮かべた後、すぐに自分の席に座ってしまう。その姿でさえ美しく明里は目が離せなかった。

明里は恋をしている。同姓である彼女にだ。最初はこの気持ちに戸惑った。しかし、感情は誰にも止めることはできず、明里はこの恋という感情を受け入れた。しかし、彼女とは同じクラスにいるものの、ほとんど話したことはない。緊張してしまうためだ。

彼女ーーー片桐舞(かたぎりまい)は十人いれば十人が美人と答える容姿の持ち主である。勉強もでき、スポーツもできる優等生で、このクラスの委員長を任されている。そして、男女問わず憧れの存在として名前が挙がるほどだ。