そこから彼、祐斗くんをよく見かけるようになった。
朝の登校時間。
昼休みの廊下。
放課後の部活で。
彼をみかける度、新しい彼を見れて、どんどん鼓動がなる。
私はその時理解する。

あぁ、私は一目惚れしてしまったんだ、と。

私は中学時代、なかなかの活発な少女だったので、好きな人をすぐに人に言いふらしてしまっていた。
友達には直接話しかけに行きなよ、なんて背中を押されていたが、結局勇気がなくて、彼の連絡先をゲットして話しかけるしかなかった。

それから会話が続き、お互いの存在を認識するまでには至った。
なんて呼べばいいか、部活の試合はどうだったか、行きたい高校はあるのか、好きなことは何か、好きな歌は、好きな歌手は?
質問をしていく度に彼が丁寧に教えてくれた。

彼はテニス部の部長をやっていたが、対する私は何も功績は残せなかった。

あっという間に1年がすぎた。