「先輩の彼女さんって、この前会社の近くに来てた人でしたよね?」
「お前見てたのかよ。」
何週間か前に結衣がたまたま近くて仕事をしていたらしく、俺が会社から出ると会社の近くのベンチに座っていてびっくりした。
まさか、あれが見られているなんて思いもしなかった。
「堅治、結婚しねぇの?」
「はぁ?!」
後ろからそんな声が聞こえて、俺は思わず大きな声を出してしまった。
振り向くと、ニシシッと悪巧みをした顔の日比谷凪がいた。
凪とは高校のときに部活で存在を知っていて、入社した時に一緒に入ってきて驚いた。
もちろん俺は凪のことを尊敬していたし認識していたけど、他校だし、凪の高校の方が強かったから簡単に話しかけるわけなかった。
だけど凪が俺を覚えてくれたらしく、一番最初に話しかけてくれた。
それから1年近くで、軽口を叩ける程度の仲になった。
「結衣ちゃん、かわいいもんなー。他の誰かにとられちゃったりして。」
こいつ、まじで最悪だ。