早くこの会議が終わってほしい、そう思いながら、柴田さんの話に相づちをうった。

会議がおわって、柴田さんと渡辺さんが会議室から出ると、思わずため息を漏らしてしまった。
そして、力が抜けたように、椅子に腰かける。
そんな様子を見た上村さんが豪快に笑って、「お疲れ。よく頑張ったな。」と頭を撫ででくれた。
力強い手で、さすが2児の父だなと思った。
上村さんの後に続いて、私は会議室から出る。
「そういえば、渡辺さん、だったか。お前と同い歳だったな。」
そう言われて、名刺を確認する。
『渡辺 祐斗』と書かれている隣に、丁寧に年齢まで書いてあった。
26歳。
たしかに私と同い歳だ。
「全然気がつきませんでした。」
私がそう言うと、上村さんはまた豪快に笑って、
「お前名刺しまうの早かったよな。見方によっては、失礼になるから気をつけろよ。」
と、助言までしてもらった。