彼氏には申し訳はないが、俺は本気で彼女が好きだった。
好きになった順序なんて関係ない。
彼女が惚れた方の勝ちだ。

俺はその勝利を掴みとった。
どうやら彼氏の方はしつこく復縁の話を持ちかけてきたらしいが、最後は彼女がバッサリと切り捨てた。
最後まで哀れな彼氏だな。

「堅治、最低じゃん。」
俺の過去の恋愛を聞いて、目の前の彼女は不敵に笑う。
「まぁでも、あんなことがなくても、陽菜とは別れてたよ。だってあいつは繊細だしな。俺にはもったいない。」
俺がそう言うと、結衣は眉をひそめて、
「私が繊細じゃないって言ってる?」
と、怒り口調で言った。
俺は違う違うと、頭を左右に振る。