肩をトントンと叩くと、ビクッと肩を震わせてゆっくり振り向いた彼女は、大きな瞳で俺を見ていた。
その真っ直ぐな瞳に飲み込まれてしまいそうだった。
「迷子?」
俺が聞くと、目の前の彼女はゆっくりとうなづく。
まだ俺に不信感を抱いているのだろう、彼女の体は震えていた。
「君、、、緑ヶ丘高校?俺何回か練習試合したことあるわ。」
俺は一応スタメンで出ているし、なんならキャプテンだから、顔くらいは覚えているだろう、そう思ったが、彼女はなんのことかわかっていなかった。
こいつ、マネージャーだよな?
「ごめんなさい、よくわかんないんですけど、私、緑ヶ丘の人たちと合流したくて、あの、緑ヶ丘の人見ませんでしたか?」
俺に興味を示すわけでもなく、淡々と聞く彼女が、結構不思議だった。
男に興味がなくても、俺を好きになる人なんてたくさんいた。
高校に入ってからも、後輩からやけに連絡が来るし、彼女は作らないと言っているのに、やれ一目惚れだの、ずっと好きだの、勝手に自分の気持ちを押し付けたくせに、俺がその気持ちを受け取らなければすぐに文句を言う。