中学生の頃、俺は人生最大のモテ期がきていたのかもしれない。
廊下を歩く度に女子から噂をされ、2日に1回は校舎の裏に呼び出されて告白される。
特に好きなやつはいなかったけど、「ごめんねぇ。俺気になる子がいるんだよ。」と、諦めさせる口実にそんなことを言っていた。
元々、俺は"モテたい"だけで、"彼女が欲しい"わけではなかった。
部活はバレー部に所属していたが、バレーに集中したくて、他の雑念はなるべく消したかった。
告白されては振る。
そんな動作にあきあきしていた中学2年生の秋、俺は1人の女子に告白された。
たしか9月くらいだっただろうか、夏休みが終わり、部活も大会が終わった頃だった。
いままで告白してきた女子と特別何も変わらないが、ここで振るなんて少し可哀想。
いままで感じなかった俺の気持ちが、なぜか揺らいだ。
「別にいいよ。」

いつの間にか俺は、そんなことを答えていた。