「思えばさ、堅治、めっちゃしつこかったよね。」
私は目の前でワインを堪能する双葉堅治にため息をつく。
高校時代、私が凛とわかれるきっかけとなったのはつまり堅治で、堅治が潔く私を諦めていたら良かったものの、しつこく連絡をしてきた。
「そんなしつこい俺に惚れたのはお前だろ?俺結構待ったんだからな。高3の春高のときなんて、頭の片隅にお前いてやばかったわ。」
当時のことを苦笑まじりに話す堅治に、私は自然と笑みがこぼれた。

そういえば、こうやって自然と笑えるようになったのも、堅治と付き合い始めてからかもしれない。
凛と付き合っている時は、毎日のように好きだの、かわいいだの、愛しているだの言われて、逆に本当に思っているのか不安になった。
だけど堅治は、私がいつも愛の言葉はいわないけど、私が抱きついたり、手を繋いだりすると顔も真っ赤にして怒る。
そんなピュアな堅治だからこそ、私が本当に好きだということが伝わる。

私は意外と、愛されたかったのかもしれない。