街の木々が赤や黄色に彩り始めた頃、彼のいる高校から練習試合を申し込まれたという。
もう少しで春高予選が始まる。
その前の実力試しといったところだろう。
彼も予選のことで頭がいっぱいで、きっと私のことなんて気にならないと思う。

そう甘く考えていた。

彼は体育館に入り、私の方へ直行。
「なんで連絡くれないの?」
私の前に仁王立ちすると、彼は少し怒りの色を目に宿し、私を見下ろした。
凛より圧があったのは気のせいだろうか。
私はひゅっと怯んでしまった。
「おい双葉!お前の圧が強すぎるんだよ!」
その時、彼の友達だろうか。
彼の頭を後ろからげんこつを飛ばした。
「いってぇ、、、!」
「ごめんね?怖がらせちゃったでしょ?でもこいつ、結構長い間凹んでいたから連絡は返してあげて?」
私だって、好きで人の連絡を無視しているわけではない。
凛に言われなければ、毎日連絡だって返していたし、もしかしたら彼のことだって好きになってたかもしれない。
だけど、私の立場を考えたら、それは凛への裏切り行為になる。