そう言いながら俺の彼女、立花結衣は、また鼻歌を歌いながら鍋をじっと見つめた。
だけど、さっきのご機嫌感がなくなり、鼻歌の歌もなんだか寂しい歌だった。
俺はそんな彼女を不思議に思いながらも、自室で着替え、スウェット上下を着て、スーツをクローゼットに閉じ込めた。
今晩はカレーらしい。
結衣はふたり分、皿に盛り付けた。
小さい食卓テーブルで、2人向かい合って手を合わせた。
「いただきます。」
その言葉を合図に、俺はスプーンを握ってカレーを口に運ぶ。
今日は辛口だ。
「うま。」
俺がそう呟くと、結衣は嬉しそうに笑った。
それから自分の皿にのるカレーに手をつけず、しばらくカレーを頬張る俺を見ていた。
視線を感じて食べにくくなった俺は、スプーンを置いて、結衣に向かい合った。
こういう時の結衣は話を聞いてほしい時だ。