それから私たちは、付き合っていない。
ただ、前よりは確実に話すようになった気がする。
私が祐斗の好きなプロレスを観るようになったり、祐斗が私の好きなアニメを観たり、お互いの好きなものに触れる機会が増えた気がする。
プロレスは、推し選手を決めて、金曜日のプロレスの番組を見て、連絡をしたり、電話をしたりした。
プロレスの試合も観に行ったり、アニメも映画化されて、それを観たりした。
祐斗と一緒にいた時、前まできっとドキドキで緊張していたと思う。
だけどもう、そういう感情は生まれなくなっていた。
ただ単に、彼を友達として、気の合う人としてみていて、それが何となく居心地良く感じていた。
みんなからはいじられた。
1度告白した身だし、急に友達として仲良くしましょうなんて、私に裏があると思うだろう。
でも、あの頃の私は、純粋な思いだった。

恋愛感情を抱くより、男を友達として、話しやすい人として見た方が、楽だということに気がついたのだ。

それが私の人生を左右させるなんて、その時の私は、思ってもいなかっただろう。