だからっ。どうしてそういうウソがサラッと言えるの?


「あーアツい。この部屋なんか暑くなーい?」

「ねーっ。誰か扇風機ぷりーず」


 そんなふうに冷やかされたら、わたしの方がアツくなっちゃうから!


「でもさ、こうやって南条くんが行事に参加してくれるのってはじめてだから、みんなめちゃくちゃ気合い入ってるよね」

「うん、間違いない」

「南条くん、来てくれて、本当にありがとね」

「今日のステージ、みんなで絶対に成功させよ!」

「お、おう……」

 みんなに迫られ、南条くんが若干戸惑った表情を浮かべている。


 ほらね、みんなも南条くんのこと、待っててくれたんだよ。

 無理やりにでも来てもらって、本当によかった。


 思わずふふっと笑みがこぼれる。

 そんなわたしを見て、南条くんが文句を言いたげな表情で『なんだよ』と口パクする。

 わたしが笑顔のまま首を横に振ると、南条くんがつかつかとわたしの目の前に歩み寄ってきた。