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「うわぁ、カッコいい~」

「ほんと、超似合う」

「衣装係、ガチで神だわ」


 大きめの鏡を手渡され、自分の姿をはじめて確認する。


「え、これ、わたし……?」

「絶対望月さんにホレる女子続出だって」

「うん。ヤバいね、これは」


 肩までの髪はキュッと後ろで束ね、前髪は左右に流し、露わになったおでこ。

 キラキラ光るスパンコールのたくさんついた紺色のジャケットをはおり、白のタイトなパンツに黒いロングブーツといういで立ち。

 まさに、ザ・王子様が目の前にいる。


「ちなみに、姫の方も超ヤバいよ。がんばった甲斐があったってもんよ」

「メイク係もめちゃがんばってくれたから、楽しみにしててね」

 姫の衣装係の二人が、ぐいっと親指を立てて見せる。


「——詩乃」


 名前を呼ばれ、顔を上げると、入り口のところに、長身でとても美しいお姫様が立っていた。


「な……南条くん……なの?」

 ビックリしすぎて、うまく言葉にならない。

「なんだよ、笑うなよな」

「笑ってないよ! すごい。すっごく似合ってる」

「……それ、全然うれしくないんだけど」

 南条くんが、むくれた顔をする。

「ダメだよ。お姫様がそんな顔をしたら」

「詩乃は、めちゃくちゃカッコいいな。ますますホレる」

「なっ……」