ふおぉ~~。


 思わずおかしな声が出ちゃうくらい、どっしりとした大豪邸。

 背の高い門の脇のインターホンを押すと、遠くの方で大型犬の吠える声が複数聞こえる。


『はい。どちらさまでしょうか』

 しばらくすると、お上品な女性の声がした。

「えーっと……あの……」


 あれ、これ、本当のことは言っちゃダメな感じ……だよね、たぶん。


「南条蒼真くんのクラスメイトの望月と申しますが、南条くん、いらっしゃいますか?」

『少々お待ちくださいませ』

 ヘンな緊張でドキドキする胸を押さえ、しばらく待っていると、白髪の小柄な女性が、大きな門の脇のくぐり戸を開けてくれた。

「こちらから、どうぞお入りください」

「ありがとうございます」


 その女性について敷地内を歩いていくと、建物の右手にプールがあるのが目に入った。


 自宅にプール……ビニールプールじゃないプールがあるなんて。

 さすがに25メートルはなさそうだけど、その半分くらいはありそう。


 あれっ。そういえば南条くん、この前泳げないって言ってなかったっけ?

 自宅にあったら、練習し放題じゃない?


「小さい頃、ラブにうしろから突き落とされたから、水はキライなんだよ」

 わたしの心を読んだかのような声が聞こえ、声の方を見ると、南条くんが玄関前に立っていた。