「ねえ、こんな状況でも、まだ彼を学校に来させるつもり?」

 校舎を出て、ひと気のないところで圭斗と合流すると、圭斗が開口一番わたしに言う。

「……」


 正直、迷ってる。

 だって、学校に来ない方が、安全には違いないんだから。

 でも……。


「わたしは……それでも来てほしいって思ってる」

「彼を危険に晒しても? 他の関係のない生徒を危険に晒すことになっても? それってもう、詩乃のワガママなんじゃないの? 彼に感情移入しすぎだよ。ねえ、ひょっとして——」

「恋愛感情だけはないから! だって、破門になるんだよ? そんな感情、持つわけないよ。わたしは、お父さんみたいに、みんなの幸せを守れる人になりたいだけなの」

「そう。わかってるなら、いいけど」

「とにかく、今日一度南条くんちに行って、話してみるよ」