……って。ああ、そっか。
事故の件は、多分『アイツ』が大事にならないように、うまくおさめてくれたんだ。
『アイツ』っていうのは、今回わたしの任務の補佐役として、一緒に学園に潜入している佐治圭斗のこと。
圭斗はわたしと同い年なのに、すでに何度も単独任務をこなしているベテランなんだ。
愛らしい顔で油断させて敵の懐深く潜り込んで情報を引き出したり、人の心を操る術が得意なの。
今回は、あの事故のことをみんなに忘れさせるために、『クール王子がキスしてた』っていう話題の方にみんなの関心が向くように仕向けたんだと思う。
「クール王子来たよ。やばっ、わたしこんなに近くでホンモノ見たの、はじめてかも~」
一足先に教室に足を踏み入れた南条くんに、女子の視線が殺到する。
その隙に、とにかく目立たず空気になりきって教室へとこっそり入ろうとした瞬間、今度はわたしにみんなの視線が集まり、思わずその場で固まる。
な、なんで?
「あっ、あの子! あの子だよ、さっき王子とキスしてた子」
「誰、あの子。中学入学組だよね?」
サッキオウジトキスシテタコ……って、わ、わたし⁉
キョロキョロと教室の中を見回して、圭斗の姿を確認する。
ねえ、なんてウワサを大きくしてくれちゃってるワケ⁉
当の圭斗は、あくまでもわたしとは赤の他人ですっていう態度で、周りの子と一緒になってわたしのウワサ話なんかしてるし。
っていうか、もうすっかりクラスになじんでるし! 仕事早すぎだし!
事故の件は、多分『アイツ』が大事にならないように、うまくおさめてくれたんだ。
『アイツ』っていうのは、今回わたしの任務の補佐役として、一緒に学園に潜入している佐治圭斗のこと。
圭斗はわたしと同い年なのに、すでに何度も単独任務をこなしているベテランなんだ。
愛らしい顔で油断させて敵の懐深く潜り込んで情報を引き出したり、人の心を操る術が得意なの。
今回は、あの事故のことをみんなに忘れさせるために、『クール王子がキスしてた』っていう話題の方にみんなの関心が向くように仕向けたんだと思う。
「クール王子来たよ。やばっ、わたしこんなに近くでホンモノ見たの、はじめてかも~」
一足先に教室に足を踏み入れた南条くんに、女子の視線が殺到する。
その隙に、とにかく目立たず空気になりきって教室へとこっそり入ろうとした瞬間、今度はわたしにみんなの視線が集まり、思わずその場で固まる。
な、なんで?
「あっ、あの子! あの子だよ、さっき王子とキスしてた子」
「誰、あの子。中学入学組だよね?」
サッキオウジトキスシテタコ……って、わ、わたし⁉
キョロキョロと教室の中を見回して、圭斗の姿を確認する。
ねえ、なんてウワサを大きくしてくれちゃってるワケ⁉
当の圭斗は、あくまでもわたしとは赤の他人ですっていう態度で、周りの子と一緒になってわたしのウワサ話なんかしてるし。
っていうか、もうすっかりクラスになじんでるし! 仕事早すぎだし!