「えぇっ⁉」


 ちょっと厳しくないですか⁉

 っていうかこの人、ひょっとして、わたしのことを知ってる……?


「なに簡単に捕まってるの、詩乃」

 うしろから、呆れた声とともに大きなため息が聞こえる。

「父さんも。詩乃のことをからかってる暇があったら、仕事したら?」

「お、おじさん⁉」

 思わず圭斗とおまわりさんを交互に見る。


 本当だ。全然気づかなかった。

 護衛の仕事をやめてから、まさか警察の仕事をしていたなんて。


「久しぶりだね、詩乃ちゃん。お母さんに似て、すっかりキレイになって。見違えちゃったよ」

 おじさんが、わたしを見て目を細める。

「ねえ、世間話してる暇があったら、仕事したら?」

「だからちゃんと仕事をしてるんじゃないか。今、校舎内は立ち入り禁止のはずだぞ、二人とも」

「わかってるよ。すぐ出てく。……それで、爆弾は?」

「いや。今のところ、見つかっていないよ」

「そ。ならいいけど」

 おじさんに向かってそっけなく言うと、すたすたと階段に向かって歩いていく圭斗。

「え……ほんとにもう探さないの?」

 階段の手前で足を止め、圭斗がこちらを振り返る。

「父さんが探して見つけられなかったものを、僕らが見つけられると思う?」

 た、たしかに。

「そういうこと。この前の爆破予告の件も聞いてるよ。あとはこっちでやるから、君たちは外に出ていなさい。くれぐれも他の人間には見つからないようにね」

「いちいち言わなくてもわかってる」

 不機嫌そうにそう言うと、圭斗は階段の方へと姿を消した。