「そうだよ、わかってるよ。けど、じゃあ、なんのためにわたしたちは護衛として雇われてるの? こういうときのために、わたしたちはいるんじゃないの?」

「……」

 少しの間考え込むようにしていた圭斗が、小さくため息をつく。

「ここでこれ以上二人で話し合っていてもしょうがないよね。学校に来るよう本人を説得しに行ったって、登校を拒否する可能性だってあるんだから」

「じゃあ……『学校に来て』って、説得に行ってもいいってこと?」

「ただし、わかっているとは思うけど、君が全責任を負うんだよ。この任務は、君の担当なんだからね」

 責任という重いワードに、思わずたじろぐ。


 もしもなにか悪いことが起こったら……わたし、どうやって責任を取ればいいの?


 いやいや、なに弱気なことを言ってるの?

 そもそも、なにか悪いことが起こったときのために、わたしたちはここにいるんじゃない。

 やるべきことは、今までとなにひとつ変わらない。


「わかった。今日学校が終わったら、南条くんを説得しに行ってくる」

 決意を固めると、わたしは圭斗の目をまっすぐに見て宣言した。