「ねえ、どうしたらいいと思う⁉」

「どうしたらって。それは、僕たちが考えるべきことじゃないでしょ。仮にあれが彼に宛てたものだったとしたら、彼が学校を休むのは正しい判断だと思う。彼が来ることで、他の人にも被害が出たらどうするの?」

「それは、そうだけど……」


 実はね、昨日学校に行ったら、校門を入ってすぐのところにある掲示板に、爆破予告が貼られていたの。


【春のステージ発表会当日 御校を爆破させていただきます】


 ほんと、ふざけた文章にもほどがあるよ。


 すぐそばの詰め所にいた警備員さんに聞いてみたんだけど、貼った人を見かけてはいないって。

 深夜に誰かが学校に侵入して、貼っていったのかもしれない。


 わたしと圭斗であちこち手分けして調べて回ったけど、とりあえずひとつも爆弾は見つからなかった。

 全国のあちこちで同様の爆破予告事件が起こっているけど、そのどれもが愉快犯——つまり、予告状を受け取った側があたふたする様を、陰で笑って見ているだけで、実際に爆破事件にまでは発展していない。

 今回も、ただの脅しの可能性が高い、とは思う。


 けど、他の事件と違うのは、実際に命を狙われている人物の通っている学校がターゲットだっていうこと。

 南条くんが学校を休むっていうのは、常識的に考えて、正しい判断だとは思う。