あ……そっか。南条くん、小学校の頃は、学校にもほとんど通えてなかったんだっけ。

 特に、学外からもたくさんお客さんが入ってくるようなイベントなんて、危険に360度囲まれているも同然の状態。参加を見送るのが、妥当な判断だったと言えるだろう。


 けど、今回はわたしがそばにいるし、圭斗だっている。

 はじめての発表会が、楽しい思い出になってくれればいいな。

 それに、仲のいい幼なじみとだけじゃなく、練習を通してクラスのみんなと打ち解けるチャンスでもある。


 重い責任に、きゅっと気が引き締まる。


「姫、わたくしが必ずお守りします」

「頼みましたよ、王子様」

 南条くんの艶っぽいささやき声に、思わずドキリとする。


 ちょ……突然そういうの、本当にやめてってば。

 っていうか、自分から振っておいて、動揺するな、わたし。


 そして、翌日から練習がはじまり——発表会本番前日の朝、『しばらく学校を休むことにしたから』というメッセージが、南条くんから届いた。