本当に、南条くんの護衛がわたしでいいの?

 他の人の方が、南条くんのためにはいいんじゃないの?


 圭斗の方が経験だって豊富だし、わたしなんかよりずっと頼りになる。

 南条くんのためには、圭斗に代わってもらうべきなんじゃないの?

 それで、今度はわたしが圭斗のサポートに回ればいい。

 それがきっと、一番いいに違いない。


 悪夢で目覚めてから、同じことばかりずっと考えてた。


 一番いいってわかってるのに……どうしてもその決断はできなかった。


 わたしの手で、南条くんの幸せを守りたいから。

 南条くんの笑顔を守りたいから。

 またあの笑顔をわたしに向けてほしいから。


 だったら——。


「やるよ。わたしは、やめない」


 こんなところで諦めたら、あの男の子にだって笑われちゃうよ。

『なんのためにあんなにがんばってたの?』って。


 そうだよ。このときのために、わたしはずっとがんばってきたんだから。


「そ。じゃあ、くれぐれも命だけは大切にしてよ」

「うん。わかってる」


 よく考えたら、自信なんか最初からないじゃない。

 人一倍練習しないとみんなと同じようにはできなくて、優秀な圭斗にはずーっと先を越されて。


 だけど、誰よりも努力してきたってことは、わたしが一番よく知っている。

 それにね、南条くんを守りたいって気持ちだけは、誰にも負けない自信がある。