***


「どうした、詩乃?」

 朝ごはんを食べる手を止め、圭斗がわたしに声をかける。

「へ⁉ い、いや、別に?」

「全然ごはん進んでないじゃない。それに、寝不足って顔してる」


 ドキッ。


 実はあのあと、不安で眠れなくなってしまったんだ。


「——僕もそうだったよ。はじめての任務のとき」

「圭斗、も?」

「任務を任されたってことは、一人前だって認めてもらえたんだ、なんてよくわからない自信でいっぱいで、絶対に自分一人でやりきってみせる、なんて意気込んでいたけど。自分にできることなんて限られてるんだって、現場に出て、はじめて突きつけられた」

 圭斗が、淡々とした口調で言う。

「たぶん、みんなが通る道だよ。ここを乗り越えられなければ、君はここまでってこと」

「……」

「颯さんは、いつやめたっていいって言ってる。どうする? もうこの仕事、おりる気になった?」

「それは……」