「はあ、はあ、はあ、はあ……」

 布団から飛び起きると、ぎゅっとパジャマの胸元をつかむ。


 今の、夢……?


 全身の震えが止まらない。


 もう何日も前のことなのに。

 今までずっと平気だったから、大丈夫だと思っていたのに。


 まるで、あのときの恐怖を忘れかけているわたしに、わざと思い出させようとしているみたい。


 もし同じことが起こったら、次も同じように助けられる?

 今の夢みたいに、万が一のときに体が動かなくなってしまったらどうしよう。


 ……怖い。


 わたし、一人の人間の命を預かっているんだ。

 わかっているつもりだったけど、ちゃんとわかってなかったかもしれない。


 それに、わたし自身のことだって……。

 もしも南条くんに治癒能力がなかったら、わたし、もう何度も死んでる。


 お兄ちゃんの思っているとおりだよ。

 わたしなんか、本当はまだまだ一人前にはほど遠いんだ。