隣り合って座った二人。愛莉さんが、顔をうつむかせている。
『なあ。どうしてオレの方、見ないんだよ』
『か、観覧車なんだから、景色を見なくっちゃでしょ』
『それじゃ床しか見えてなくね?』
顔をうつむかせたままの愛莉さんを見て、北澤くんがくすりと笑う。
『見えるもん。心の目で、キレイな夕焼けを見てるもん』
『オレは、愛莉しか見てねーけどな』
『⁉』
ぱっと愛莉さんが北澤くんを見上げると、やっと二人の目が合い、絡み合う視線。
目がそらせなくなったように、見つめ合う二人。
自然と二人の距離が近づいていき——。
きゃーっ! なに考えてるの、わたし!!
ぶるぶると首を左右に振って、必死に妄想をかき消す。
「あれっ。ひょっとして今——」
「してません!」
南条くんの言葉に被せるようにして即座に否定するわたしのことを、南条くんがニヤニヤしながら見てくる。
「へぇ~、詩乃もそーいうの興味あるんだ」
「ありません! なに言ってるんですか」
「俺はあるんだけどなー。だって、したことないし。アイツらに先越されるってのは、ちょっとムカつくなあ」
「だったら、まずはホンモノの彼女を作ったらいいじゃないですか。こんな、ウソの関係じゃなく。そ、そうだ。『忘れられない初恋の人』がいるんですよね? そんな人がいるのに、わたしなんかに……」
「誰に聞いたの、それ」
南条くんの冷たい声に、ハッと我に返る。
『なあ。どうしてオレの方、見ないんだよ』
『か、観覧車なんだから、景色を見なくっちゃでしょ』
『それじゃ床しか見えてなくね?』
顔をうつむかせたままの愛莉さんを見て、北澤くんがくすりと笑う。
『見えるもん。心の目で、キレイな夕焼けを見てるもん』
『オレは、愛莉しか見てねーけどな』
『⁉』
ぱっと愛莉さんが北澤くんを見上げると、やっと二人の目が合い、絡み合う視線。
目がそらせなくなったように、見つめ合う二人。
自然と二人の距離が近づいていき——。
きゃーっ! なに考えてるの、わたし!!
ぶるぶると首を左右に振って、必死に妄想をかき消す。
「あれっ。ひょっとして今——」
「してません!」
南条くんの言葉に被せるようにして即座に否定するわたしのことを、南条くんがニヤニヤしながら見てくる。
「へぇ~、詩乃もそーいうの興味あるんだ」
「ありません! なに言ってるんですか」
「俺はあるんだけどなー。だって、したことないし。アイツらに先越されるってのは、ちょっとムカつくなあ」
「だったら、まずはホンモノの彼女を作ったらいいじゃないですか。こんな、ウソの関係じゃなく。そ、そうだ。『忘れられない初恋の人』がいるんですよね? そんな人がいるのに、わたしなんかに……」
「誰に聞いたの、それ」
南条くんの冷たい声に、ハッと我に返る。