な、なんでこんなことに……?


 今、わたしの目の前にいるのは、観覧車の窓枠に頬杖をついて、茜色に染まる夕焼け空を気だるげな表情で見つめる南条くん。


 四人で乗る気満々だったんだよ、わたしは。

 三人でワイワイしているのを見ているだけで、わたしまで胸があったかくなるから。


 なのに、北澤くんと愛莉さんのあとについてゴンドラに乗り込もうとしたら、ぐいっとうしろに手を引かれて……現在地がここ。

「ちょっとは空気読めよな」って言われたけど、わたしだって、それなりに空気読んだつもりなんですけど。


「詩乃は、俺と二人きりじゃ不満?」

「そんなことはないけど……」

「だって詩乃、ずっと怒った顔してる」

「それ言ったら、南条くんだって」

「それはっ……詩乃が俺とじゃイヤって顔してるからに決まってるだろ。次は、いつこうやって出かけられるかわからないんだし」

「だったら、なおさらみんなで……あ、そっか。むしろわたしは遠慮した方がよかったのかな⁉ でもボディガードとしては同乗しないわけにもいかなかったし、それに……」

「俺は、詩乃と二人きりがよかったって言ってんの」

 南条くんが、さらに不機嫌そうな顔になる。


 そんなこと言われても……。

 だってわたしたちは、愛莉さんたちみたいにホンモノのカレカノじゃないんだから。