「ねえ、大和。次はどこ行く?」
園内マップの大きな看板を見つけた愛莉さんが、北澤くんの手を引いて楽しそうに看板へと近づいていく。
「そうだなー。こうなったら、とことんカップルの定番を攻めるか」
「だったら、お化け屋敷? 観覧車?」
「そのふたつは外せないよな」
「えーっと、ここから近いのは……」
「お化け屋敷だな」
「ねえ。せかっくだから、観覧車は最後のお楽しみにしない?」
愛莉さんたちのうしろに立って、南条くんも看板を眺めている。
わたしは、そんな南条くんのキレイな横顔を、そっと見上げた。
たしかにみんなとはちょっと違う不思議な力を持ってはいるけど、南条くんは普通の男の子。
なのにずっと誰かに狙われて、学校にすら普通には通えなくて、こんなふうに友だち同士で出かけるのもはじめてで。
だけど、みんなといるときは、そんな苦しい人生を送っているなんて、微塵も感じさせない。
これも、みんなに心配をかけさせないための、南条くんなりの思いやりなのかもしれない。
だったら、わたしが一緒にいる間くらいは、南条くんができるだけみんなと同じように楽しい毎日が送れるように、せいいっぱいのことをしてあげたいなって、心からそう思う。
園内マップの大きな看板を見つけた愛莉さんが、北澤くんの手を引いて楽しそうに看板へと近づいていく。
「そうだなー。こうなったら、とことんカップルの定番を攻めるか」
「だったら、お化け屋敷? 観覧車?」
「そのふたつは外せないよな」
「えーっと、ここから近いのは……」
「お化け屋敷だな」
「ねえ。せかっくだから、観覧車は最後のお楽しみにしない?」
愛莉さんたちのうしろに立って、南条くんも看板を眺めている。
わたしは、そんな南条くんのキレイな横顔を、そっと見上げた。
たしかにみんなとはちょっと違う不思議な力を持ってはいるけど、南条くんは普通の男の子。
なのにずっと誰かに狙われて、学校にすら普通には通えなくて、こんなふうに友だち同士で出かけるのもはじめてで。
だけど、みんなといるときは、そんな苦しい人生を送っているなんて、微塵も感じさせない。
これも、みんなに心配をかけさせないための、南条くんなりの思いやりなのかもしれない。
だったら、わたしが一緒にいる間くらいは、南条くんができるだけみんなと同じように楽しい毎日が送れるように、せいいっぱいのことをしてあげたいなって、心からそう思う。