「ねえ、そんなの誰かに見られたらどうするの⁉」

「詩乃は俺の彼女って設定だろ? むしろ待ち受けにしてない方が怪しまれるって」


 そう……なの? そういうものなの?

 普通を知らないから、これ以上なにも言えない……。


「いいよなー、おまえは。堂々と詩乃の膝の上に乗れて」

 わたしの隣に腰かけた南条くんが、わたしの膝の上のモルモットに手を伸ばして指先でなでる。


 ……さっきから、南条くんがなんだかおかしい。


「ね、ねえ。どこか具合悪いの?」

「あー……さっき能力使ったから、ちょっと疲れてるかも」

 南条くんが、わたしの肩の上にこつんと自分の頭を乗せてきた。

「ちょっと休憩させて」


 南条くんのサラサラの髪がかすかに耳に触れて、くすぐったい。


 ……っていうか、近くない、これ⁉

 距離を意識したら、急に顔がアツくなってきた。


「詩乃、小さすぎて首痛い」

 そう言って、南条くんがくすくす笑う。


 そりゃあそうだ。わたしの身長は150cmそこそこ、南条くんは170cmは余裕であるんだから。


「文句言うなら、やらなきゃいいのに」

「文句言わないなら、やってもいいんだ」

「よ、よくはないけど……南条くんには、命を助けてもらったし……具合がよくなるまでだからね?」