救護所を出たわたしたちは、動物園の奥の方にあるふれあい広場までやってきた。

 ここでは、ウサギやモルモットを抱っこしたり、ヤギやヒツジにエサをあげられるんだ。


 エサやりも楽しいけど、やっぱり一番の目的はこっち!

 さっそくウサギとモルモットのいる柵の中に入ると、小さなベンチに腰かけたわたしの膝の上に、南条くんがモルモットを乗っけてくれた。

 あったかくて、心臓の鼓動がトクトクと伝わってきて、こんなに小さいのにちゃんと生きてるんだなーって実感する。


「はぁ~、かわいい。連れて帰りたくなっちゃうよぉ」

 膝の上に乗せてもらったモルモットの背中を、そっとなでる。

「詩乃、コツメカワウソ見たときと同じこと言ってるぞ」

「だって、両方ともかわいいんだもん」

「ほんとだ、かわいい」

 そう言いながら、カシャカシャとシャッターを切る音がする。

「ほら、すげーいい顔してる」

 南条くんが、スマホの画面をわたしに向けた。

「へ⁉ ち、ちょっと、なんでわたし⁉」


 モルモットの写真を撮ってるのかと思ったら、わたしの写真撮ってるし!


「いいじゃん。いい顔してんだから。そうだ、待ち受けにしとこーっと」

 そんなことを言いながら、スマホを素早く操作する南条くん。


 わたしがモルモットを抱っこしてて身動きがとれないからって、やりたい放題!