「ち、ちょっと外の空気に当たってくるね」

 南条くんにそう言って、わたしは一旦救護所を離れた。


『俺のホンモノの彼女になって』って、いったいどういう意味?

 わたしは、南条くんの初恋の人の代わりなんてできないよ?


 胸にちくっと謎の痛みが走る。


 ……違う。そんなわけない。


 ぶるぶると首を左右に全力で振って、ありえない考えを吹き飛ばす。


 わたしは南条くんの護衛で、南条くんはわたしの依頼人。

 ただそれだけの関係なの。


 ……そうだよ。なにやってるの、わたし……!


 全身の血の気が引いていく。


 南条くんから、片時も目を離しちゃいけないのに。