「えっと、一応聞いておくけど、みんなは南条くんの能力のこと……」

「言うわけない。あの二人も知らない。普通に気持ち悪いだろ、こんなヤツ」

 吐き捨てるように言う南条くんに、ぶんぶんと首を横に振って見せる。

「ううん、気持ち悪いだなんて、全然思わないよ! だって、わたしは南条くんに二度も命を助けてもらったんだから。感謝してもしきれないよ」

 だけど、腑に落ちないことがひとつある。

「あの」

 わたしがおずおずと手をあげると、「なに?」と南条くんが首をかしげる。

「さっき、能力のせいで命を狙われてるって言ってたけど、どうしてなのかなって思って」

 わたしが南条くんを見上げると、南条くんが無言でわたしの瞳をじっと見下ろしてくる。

「たとえば、南条くんを誘拐して、無理やり治癒能力を使わせようとするっていうのならわかるんだけど。命を狙われる理由が、どうしてもわからなくて」

「……さっきも言ったけど、気持ち悪い存在だろ? 俺みたいな不自然なヤツ。『自然のままに生涯を終えることこそ世の常』——そんなふうに考えるヤツらにとっちゃ、俺なんて『人間の未来を変える悪の存在』ってわけだ。そいつらからしたら、俺なんかこの世に存在すること自体許されないんだよ」

「そんな……」