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「うわあ、サイだよ、サイ。こっちは、コツメカワウソだって。かっわいー。連れて帰りたくなっちゃう」

「最初からそんな飛ばしてると、最後まで持たないぞ」

 大はしゃぎのわたしを見て、南条くんが苦笑いを浮かべている。

「あっ! ねえ、ゾウがエサ食べてるよ」


 ぐぅ~~~~。


 わたしのお腹の音を聞いて、南条くんが、ぷっと吹き出した。


「さすがに早すぎね? まだ十時すぎだぞ」

「だ、だって……」


 気合いを入れて早起きしすぎたから、もうお腹空いてきちゃったんだもん。


「そんじゃ俺ら、あそこで休憩してるから、大和と愛莉、二人で回ってきたら?」

「「え……」」

 北澤くんと、愛莉さんが、恥ずかしそうに顔を見合わせている。


 ひょっとして、北澤くんも愛莉さんのこと、意識してる?

 きゃーっ! これって、ひょっとして両想いなんじゃないの⁉


「うんうん。なんだかおいしそうなニオイするし、わたし、なにか食べないともう歩けなさそうだよー」

「わかったから。あそこまでなんとか歩け。……っつーことで、ほら、さっさと行けって」

 しっしっと厄介払いするかのように、南条くんが二人に向かって右手を振る。

「はいはい、邪魔者は散れってか。わかったよ」

 そう言って、北澤くんがため息をつく。


 いえいえ、邪魔者はわたしたちの方ですよ、北澤くん。

 南条くんも、ナイスアシストだよ。