入学式から五日後の土曜日。

 今日は、ダブルデー……いや、四人でお出かけの当日。

 わたしたちは、西野山動植物園の入り口前で待ち合わせをすることになった。


 動物園になんて来るの、いったい何年ぶりだろう。

 最後に来たときは、たしかお母さんと、お兄ちゃんと、それにお父さんも……。


 ああっ、もう。湿っぽいの、禁止。

 今日は、南条くんに楽しい一日を過ごしてもらうって決めてるんだから。


 今は南条くんと二人で、愛莉さんたちの到着を待っているところ。

 南条くんの私服姿、当たり前だけど、はじめて見た。

 白Tに薄手のジャケット、それにゆったりとした黒のパンツというスタイル。

 すらっと背が高くて、まるでファッション誌から抜け出してきた男の子みたい。

 スマホに目を落としてわたしの視線に気づかないのをいいことに、思わずガン見してしまう。


「あの二人、もうすぐ着くってさ」

 と言いながらふっと顔を上げる南条くんから、ぱっと目をそらす。

「そ、そっかー。動物園なんて久しぶり。楽しみだねー。……あ、もちろんちゃんと護衛もするので。そこは、ご心配なくです」

 慌ててわたしが付け足すと、南条くんがキョロキョロとあたりを見回す。

「アイツも、来てるんだよな?」


 アイツって……圭斗のことだよね?


「うん、大丈夫。隠れてついてきてくれるって」

「そ」

 南条くんが、あからさまにホッとした表情をする。


 それってやっぱり、わたしだけじゃ不安ってこと?

 これが初任務だし、初日にやらかしてるし、信用ないのは仕方ないけど……それでも落ち込まずにはいられないよ。