わたしのお父さんは、三年前、任務の最中に亡くなったの。

 お父さんの最期の任務のとき、圭斗のお父さんも一緒の任務に就いていた。

 そして、わたしのお父さんの件が片づいた直後、圭斗のお父さんは忍びをやめてしまったんだ。


 最初は圭斗も一緒に抜ける予定だったんだけど、圭斗はそれを頑なに拒んで残ったの。

 理由は、いくら聞いても「教えない」としか言わないんだけど。


 圭斗は、自分のお父さんの苦しみも、わたしたち家族の悲しみも、全部知っている。

 だからこそ、圭斗は任務にあたる人間に対して、人一倍厳しく接するんだろうなって思ってる。

 わたしだって、圭斗にもうあんな思いはさせたくないよ。


「大丈夫。わたしは死なないよ」

 わたしがせいいっぱい明るく言うと、

「半人前が、なにエラそうなこと言ってるの」

 と、間髪入れず冷たい声が返ってくる。

「あんな不本意な心操術を使うのも、もう二度とごめんだからね」

「う、うん。ごめん……」

「とにかく、僕も同行する。これが、外出の絶対条件だよ」