「おねがい。わたしが責任を持ってしっかり守るから。外出の許可をください。おねがいします!」

 必死にそう言いながら、圭斗に向かって頭を下げる。

 そんなわたしに、圭斗が小さくため息をつく。

「だったら、僕も同行する。それが条件だよ。さすがに新米だけに任せるわけにはいかないからね」

「わ、わたしだけで大丈夫だよ! ほんとに圭斗は心配性なんだから。今日だって、わたしの大活躍で——」
「あんなのは大活躍って言わない。生きて帰るのも、僕たちの仕事のうち。何度も言ってるよね?」

 わたしの言葉に被せるようにして、圭斗が今までに聞いたことのないような厳しい声で言う。

「わかってるよ……そんなこと」


 誰よりもわかってるよ、そんなこと。


 圭斗は、ふんわりとした明るい色の髪に、くりっとした目、一見女の子みたいにかわいらしい見た目だけど、自分にも他人にもとっても厳しい人なんだ。

 学校にいる間、普通の子どもの仮面をかぶった彼は、見た目どおりのおっとりとした癒し系。

 彼のこの厳しい裏の顔を知っているのは、忍び仲間だけだ。

 その理由は……わたしのお父さんにあるんだと思う。