『え、なに。今、愛莉んちにいんの?』

「そう……です」

『いつの間にそんな仲よくなったんだよ』


 なぜか南条くんがむすっとした顔をしている気がするんだけど。


「それは……いろいろありまして」

『ふうん。ま、いいけど。で? 詩乃も行けるんだろ?』


 それは、『護衛として同行可能か?』っていう問いってことでいいんだよね?


「大丈夫……だよ」


 たぶん。


『じゃ、決定』

「えぇっ⁉」


 たしかに同行は可能だけど、こんな大事なことを勝手に決めちゃっていいの?


『人が多い場所なら、向こうも手ぇ出しにくいだろ』


 まあ、そういう考え方もあるかも……?


『すげー楽しみ。俺、こういうのはじめてだから』


 うぅっ。それを言われると、とても断りづらいんですけど。


 わたしの任務は、基本南条くんが学校にいる間だけ。

 それ以外は、見るからに屈強そうなボディガードが、送迎から屋敷内の日々の暮らしまで、ずっと警護しているらしい。


 たしかに、そうやって目に見える形で犯人を威嚇するのは効果があるかもしれない。

 けど、ずっとそんなふうにそばに屈強なボディガードがいたら、気が休まらないだろうし、友だちと水入らずの楽しい時間を過ごすこともままならないよね。

 どれもこれも、南条くんの命を守るためではあるんだけど。